2008年02月01日

バッハの平均律って、一体何でしょう?

心を落ち着けるためにバッハの平均律をしばしば好んで弾いたというショパンですが、そのバッハの平均律って、一体何でしょう?

それは、平均律クラヴィーア曲集 (Das wohltemperierte Klavier 独)(全2巻、第1巻 BWV846‐BWV869、第2巻 BWV870‐BWV893)のことで、ヨハン・ゼバスティアン・バッハの鍵盤作品を代表する曲集です。

古ドイツ語の原題Das wohltemperierte Clavier は、鍵盤楽器(=クラヴィーア)のための長短24調による48の前奏曲とフーガ。

この"Clavier"(クラヴィーア)とはドイツ語で「鍵盤楽器」という意味で、一般にはピアノを意味します。
ただし、バッハの時代にはまだピアノは普及しておらず、当時はチェンバロ、クラヴィコード、ときとしてオルガンも含めた「鍵盤楽器全般」を意味したそうです。

ベートーヴェンのソナタがピアノの新約聖書と称されるのに対し、このバッハの平均律クラヴィーア曲集はピアノの旧約聖書と称されます。音楽史上もっとも重要な作品群ということです。

原題の"Wohltemperiert(e)"は一般に「平均律」と訳されていますが、正しくは「程よく調律された」という意味。
バッハが当時意図した調律法はヴェルクマイスター(シャープやフラットが4個以下の調ではミーントーンに、シャープやフラットが5個以上の調では純五度でピタゴラス音律に近くなる)であったと推測されています。

バッハ以前にも何人かの作曲家が多くの長短調を駆使した作曲を試みていて、中でもヨハン・カスパール・フェルディナント・フィッシャーの「アリアドネ・ムジカ」は、20の調による前奏曲とフーガを含んでおり、バッハがこれを参考にしたとの説もあるそうです。

ショパンの「24の前奏曲」や、ショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は、このバッハの曲集に触発されたものだとのこと。

1977年、グレン・グールド演奏による同曲の録音が、人類を代表する文化的作品として、ボイジャーのゴールデンレコードにいれられて宇宙にうちあげられたというのもまた面白いですね♪

この2機のボイジャー探査機に搭載されたレコードには、東洋や西洋のクラシックを含む様々な文化の音楽が選ばれ、90分間の電子データに収められたそうです。中には日本の尺八もありました。

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2008年02月08日

バロック音楽は「通奏低音の時代」

さて、バロック音楽において行われる演奏形態の一つ、通奏低音(つうそうていおん)とはどういうものだったのでしょう。

通奏低音とは、低音部の旋律とともに、即興的な和音を付け加えて演奏する形態のこと。
イタリア語のバッソ・コンティヌオ(Basso continuo)の訳語で、伴奏楽器が間断なく演奏し続けるということからこの名があるそうです。

楽譜には低音部の旋律だけが示され、旋律楽器は楽譜通り演奏しますが、和音楽器では楽譜を見ながら和音を即興的に付けて演奏します。

この和声化の作業をリアライズといい、奏者の力量が問われます。奏者の裁量に委ねられる部分の大きいこうした演奏は、必然、即興性の強いものとなります。

このリアライズの作業のために、楽譜の音符の上または下に和音を示す数字を付けることも行われ、この数字の付いた楽譜のことを数字付き低音といいます。

通奏低音の語がこの数字付き低音のことを指すことも多い。現代ではリアライズを楽譜に書き起こしたものも多く市販されています。

通例、チェロ、コントラバス(またはヴィオローネ)、ファゴット、ヴィオラ・ダ・ガンバなどの低音旋律楽器に加えて、チェンバロ、オルガン(主にポジティフ・オルガン)などの鍵盤楽器や、リュート(テオルボ)、ハープなどの撥弦楽器といった和音の出せる楽器によって演奏されます。

このような通奏低音という形態は、バロック音楽の根幹をなす要素であり、バロック音楽を指して「通奏低音の時代」と称することがあります。また、ポピュラー音楽における「コード」の概念にも通じる原理があります。

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2008年02月18日

BWV、ケッヘル、ドイチュ番号って何?

作品の番号にBWVとか、ケッヘルとか、ドイチュとかありますが、あれって何でしょう?

●BWV……バッハ
バッハの作品には、BWV○○○という風に番号がついています。
これはシュミーダー番号(BWV、「バッハ作品目録」 Bach Werke Verzeichnis の略)で、これによって整理されています。

「バッハ作品目録」は、1950年にヴォルフガング・シュミーダーによって編纂され、バッハの全ての作品が分野別に配列されています。

また1951年からドイツのヨハン・ゼバスティアン・バッハ研究所(ゲッティンゲン)で「新バッハ全集」の編纂が開始され、1953年にバッハアルヒーフ(ライプチヒ)もこの編纂に参加しますが、10年で終わると予想されていた編纂作業がドイツの東西分断など事情で難航し2007年に「新バッハ全集」103巻が完成しました。

「新バッハ全集」には1100の作品が収められています。現在も作品の整理が継続中だそうです。

●ケッヘル……モーツァルト
モーツァルトの作品を識別するには、音楽家のルートヴィヒ・フォン・ケッヘルが分類した作曲順の目録であるケッヘル番号(K.+数字)が使われます。

ケッヘル番号は何度か改訂されており、最新のものは第8版。モーツァルト自身は、1784年以降に自作の作品目録を付けています。1784年より前の作品や、モーツァルト自身の作品目録に載っていない作品には、作曲の時期がはっきりしないものもあります。

●ドイチュ番号……シューベルト
シューベルトの1000近いスケッチ、未完を含む作品群は、オーストリアの音楽学者オットー・エーリヒ・ドイチュ(Otto Erich Deutsch, 1883 - 1967)により1951年に作られた英語の作品目録のドイチュ番号によって整理されています。

このように、作品を整理した人に由来しているようです。

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2008年02月28日

チェンバロは一体、何楽器?

外見はピアノに似ているチェンバロは一体、何楽器でしょう?

チェンバロは、弦を爪で弾いて発音する楽器で、撥弦楽器(はつげんがっき)、または鍵盤楽器の一種に分類されます。英語ではハープシコード、フランス語ではクラヴサンといいます。

発音の仕組みがピアノとは異なり、鍵盤を押し下げると他端に載っているジャックと呼ばれる薄板状の部品が瞬間的に跳ね上がり、その際にジャックの側面に装着された鳥の羽根軸などからできたプレクトラムと呼ばれるツメが弦を下から上にひっかいて音を出します。そのため音色などもピアノとは全く異なるわけです。

古くは14世紀頃から西ヨーロッパ圏に存在し、17、18世紀には人気の撥弦鍵盤楽器になっていました。

特にバロック期の音楽家ヨハン・ゼバスティアン・バッハによって、チェンバロ音楽は一つの頂点を迎えました。

バッハは自ら堪能に弾きこなし、それまでおもに通奏低音やオルガンの代用品といった脇役の地位であったチェンバロを、室内楽や管弦楽における独奏楽器として主役の地位にまで高めました。

美しく装飾されたチェンバロは、当時の優雅な貴族達の様子を思い浮かばせて魅惑的です!

しかし、18世紀後半古典派期には、よりダイナミックな音色の出せるピアノに人気を奪われ、徐々に姿を消していきました。

しかし19世紀末頃から古楽演奏のためにチェンバロは必要だという声が上がり、博物館に残された楽器を参考に、さらに当時のピアノの要素を組み込んだモダンチェンバロが新しく開発されました。

モダンチェンバロは20世紀前半まで頻繁に使われましたが、バロック時代に実際に使われていた楽器とは大きく異なるという批判が生まれ、古い時代の楽器を忠実に再現することに努めたヒストリカルチェンバロが生まれました。

これが現在の標準的なチェンバロです。その後、オペラのレチタティーヴォ・セッコの伴奏の他、ルネサンスのダンス音楽やバロック音楽を演奏する際の通奏低音などで、古楽器として活躍しています。

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